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日記のような何か

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2011年 04月25日(Mon) [長年日記]

_ [TCG][MTG]昔語り - プロツアーNY'98予選(その6)

その5はこちら

そして決勝戦が始まった。1戦目は私が有利に試合を進めていた。すぐに地上は膠着状態となり、私の飛行クリーチャーが相手のライフをじわじわと削り始めた。しかしここで相手の「不死身/Invulnerability」が邪魔をし始める。バイバックの効果で毎ターン唱える事が可能なこの呪文のせいで、せっかくの「ホタル/Firefly」もパフォーマンスを発揮する事ができないのだ。

とはいえなんとか毎ターン1ダメージだけは与える事ができたので、辛抱強く10ターン近くかけて相手のライフを削っていき、最後には「焚きつけ/Kindle」で相手のライフを削りきったのだった。

実はこの1戦目、私は一つの作戦を実行していた。手札にあった「ラースのドラゴン/Rathi Dragon」をずっと温存していたのだ。これにはいくつか理由がある。一つにはこのカードを相手には見せたくなかったのだ。このドラゴンは私のデッキの切り札の一つではあるが、これを私がピックした事を(ドラフト慣れしていない)相手はおそらく覚えていない。1戦目に見せなければ、2戦目にサイドボードから専用の対策カード(あるかどうかは不明だが)を投入される危険を減らす事ができる。

そしてもう一つは心理戦を考慮したという理由である。もしこのドラゴンを戦線に投入して、結果相手に凌がれてしまったら、私の受ける心理的ダメージはものすごく大きいものとなる。一方、この試合はドラゴンを投入しなくても私が押している状況だったが、もし相手がこれを凌いだと思った瞬間にこのドラゴンを投入して流れをもう一度こちらに引き寄せる事ができれば、相手に与える精神的ダメージは大きいものになるだろう。

そして私は数々の経験から、大きな精神的ダメージはしばしばプレイミスを促す事を知っていた。したがって私は(自分が有利な状況である限り)「ラースのドラゴン/Rathi Dragon」をプレイしなかったのである。

そしてこの判断は2戦目にて最高の形で報われた。初手に土地4枚(山×2,島,森)と「ラースのドラゴン/Rathi Dragon」が手札に来たのである。

しかしながら4ターン目にドラゴンを召還するのは非常に勇気のいる事だった。もし返しのターンで相手の除去が飛んできたら即敗北と言って良いだろう。しかしながら手札に5枚目の土地(島)と「落下中断/Broken Fall」、そして「対抗呪文/Counterspell」があった事が私の挑戦を後押ししてくれた。返しのターンさえ耐えられれば、勝利はぐっと近づくはずだ。

こうして最速で「ラースのドラゴン/Rathi Dragon」を召還した私は、このドラゴンで相手を5回殴り、 - 途中「落下中断/Broken Fall」を「穏やかな捧げ物/Serene Offering」で破壊されてしまったのだ。 - 見事優勝する事ができたのだった!

ちなみにこの時の決勝の相手は何を隠そう池田剛氏である。後にTCGショップFireBallを立ち上げ、日本屈指のプロプレーヤーとして活躍する事となる彼であったが、当時はまだ無名のプレーヤーだった。というよりこの予選自体が彼のデビュー戦であった。

その昔某雑誌に「池田氏は初めて出場したプロツアー予選で優勝した」という情報が載っていたが、それは明確に誤りなのだよ。本当は。

以上で昔語りは終了。この後私はプロツアーNYに参加し、満足してMTGを辞めるわけなのだが、それはまた別の機会に。気が向けば、だけど。

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