2011年 05月17日(Tue) [長年日記]
_ [長文ネタ]立て看板
私の家から歩いて5分くらいの、とある駐車場に一つの立て看板がある。
「私有地につき、犬猫等の立ち入り禁止」
これを見るたびに私は思い悩んでしまうのだ。いや、言いたいことは分かる。分かるんだけどね。犬や猫は文字なんて読めないわけで。野良犬や野良猫相手にはどうしようも無いだろう。
まあこれはペットの飼い主に向けた文章なのだ。と言われれば、それはそうなんだろうけれども。飼い犬ならば飼い主が気をつければ大丈夫な話だろうが、猫はいかに飼い猫であってもこの看板の意図は達せられないと思うのだがどうか?
「もう、ミケちゃんたらまたあの駐車場に行って。あそこに入っちゃ駄目っていつも言ってるでしょう。あそこの管理人のおじいちゃんに会うたびにお小言をもらうのは私なんですからね。」などと言ってみたところで、ミケちゃんが聞きいれるとも思えない。
何故件の看板には猫の一文字が入っているのだろうか? 謎である。
もしかしたら年老いてしっぽが二股に分かれた猫様ならば看板の字が読めるかもしれない。でもそんな猫様がはい分かりましたと素直に従ってくれるかは甚だ心許ない気がするが。
私を思い悩ます部分は他にもある。犬猫「等」とはどういう事だろうか? どこまでが「等」に含まれるのか? ハムスターは駄目なのか? エリマキトカゲは? 伝書鳩とかどうなのだ? 領空権はどこまで主張されるおつもりか?
悩みは尽きない。
いや待てよ。この看板を人間が書いたと決めつけているのが間違いかもしれないぞ。実は犬や猫の神様が立てた看板という事だってあり得るのではないか? もしかすると不思議な神通力によって、人間には人間の文字で、犬には犬の文字で、猫には猫の文字で書かれてるように見えているのかもしれないではないか。いわゆる自動翻訳。
いやいや犬や猫は文字を持たないだろう、という反論はありそうだ。確かに。だとするとこの看板は同じように人間の言葉が読める犬や猫の神様宛に書いてあるのかもしれない。何せ我が国は八百万の神がおられる国なのだ。いかに駐車場といえどきちんと領有権を主張しておかないといろいろトラブルが絶えないのだろう。神々の世界も土地の問題はセンシティブなのだ。
ふむ。少し謎が解けたかもしれない。であれば件の看板は誤解を避けるためにこう書き直すべきではないか。
「神有地につき、犬猫等の立ち入り禁止」
……じゃあ人間は良いのか? とか、そもそも何故駐車場? とか謎が増えてしまった気もする。神々も自動車を使う世の中なのだろうか?
神様も駐車場の管理に猫の(神様の)手を借りたかったのかもしれない。